機構(国)の「認定アドバイザー」の問題点

こんにちは、秋田のファイナンシャルプランナー、土田です。

 

早いもので2024年も6月下旬となり、半分をすぎようとしていますね。

今年の目標は達成に近づいたでしょうか?

 

さて、インフレもあり、新NISAiDeCoで将来資金を投資しようという機運が強くなっていますが、あなたは投資デビューされましたか?

 

当事務所への相談でも、自分で本やインターネットを活用して投資デビューはしたのだけど、これでよいのか不安という方や、本は買ってみたけどわからなくて相談したいという方が多くいらっしゃいます。

 

銀行や保険会社などでもNISA相談やセミナーを無料でしていますが、無料相談は無料商談なので、当然「商品販売ありき」です。※これはビジネスですからある意味当然です。

 

そんな無料相談の本質に気付いた方は、「どこに相談したらよいの?」となって、私の様な独立系FP(相談料が有料のFP)に相談するか、自力で本やインターネットで学んで行うかという事になっています。

 

金融庁としても、こういった資産運用のセミナーや無料相談から、顧客に合っていない金融商品を販売して販売手数料を荒稼ぎしていることを問題としており、金融庁で「認定アドバイザー」を作って対処しようとしています。

 

日経新聞Web版記事「新機構が目指す新たな金融教育 仕事の生産性に好影響も」

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD193Y60Z10C24A6000000/

 

以下引用

国民の金融リテラシー向上を目指す「金融経済教育推進機構(J-FLEC)」が8月に本格稼働する。顧客本位のアドバイスをする「認定アドバイザー」の仕組みを作り、企業や学校への講師派遣や個人向け相談などを実施する。経済的な安心感の高さが仕事の生産性に好影響を与えるとの分析もあり、企業が社員向け教育に機構を活用することも今後選択肢となりそうだ。

「アドバイス」でなく「セールス」

現在、金融情報の提供を担うのは金融機関のほかファイナンシャルプランナー(FP)、有価証券の売買の媒介などを行う金融商品仲介業者(通称IFA)、保険募集人など。しかし内容は顧客本位のアドバイスではなく、手数料目当てのセールスにもなりがちだ。

例えば金融商品仲介業者。「独立系金融アドバイザー(IFA)」という業界の自称をそのまま使うメディアが多いため誤解されがちだが、証券外務員資格を基に金融商品の手数料を金融機関と分け合う販売業者だ。良心的な業者も多い一方、仕組み債など高手数料商品を積極販売してきた業者もあった。

金融機関に属さない独立系FPも、保険募集人や金融商品仲介業者を兼ねていることも多い。割高な保険の過剰販売などがよく見られてきたし、最近も「少額投資非課税制度(NISA)よりお得ですよ」などと言って高い手数料を得られる海外社債などを売る動きがある。個人は誰のアドバイスを信用してよいのかわからないのが実情だ。

引用終わり

 

この様に、保険や証券投資商品といった金融商品を取り扱わないFPなどを「認定アドバイザー」にするという方針で固まっているようです。ですので残念ながら私は「認定アドバイザー」にはなれません。

 

しかし、この手法はかなり無理があると感じます。

問題点

   金融商品を取り扱っていないアドバイザーに運用知識があるのか?

金融商品を取り扱っていないFPの方と情報交換をすると、基礎知識はあっても現場の知識はないケースが多く、例えるなら、免許はあるけど自動車を運転したことがないペーパードライバーが自動車の運転を教えるようなものです。※実際は自動車より複雑ですから飛行機の方が近いかも知れません。

投資商品はその方のライフプランや価値観などに合わせて選択するものですし、メンテナンスも必要ですから、経験値がないと難しいでしょう。

※勿論、以前は取り扱っていたという方もいるでしょうから中には知識のある方もいるでしょうが、経験上恐らくごく少数と思われます。

   個別商品の提案は法律上できない。

記事にもありますが、金融商品を取り扱っていないFPには個別の金融商品を提案する権限が法律上ありません。ですので、資産配分を提案するまでで終わりになります。記事中に「長期の成績の7~9割は資産配分で決まる」と書かれていますが、正しくは、リスクが決まるのであってリターンは個別商品によってきます。同じリスクでも高いリターンを得られるように商品選択を行っていくのがアドバイザーの役割ではないでしょうか?

   認定アドバイザーの収入源は?

金融商品を扱わない認定アドバイザーは何で収益を上げるのでしょうか?相談料でしょうか?現行の法律では資産運用の相談料が認められるにもライセンスが必要ですが、法律を変更するのかも決まっていないようです。また、相談料を取ってよいとなっても、相談料で十分な収入を得るとなった場合にはそれなりに高額にならないと難しいでしょう。それとも機構(国)が相談料を払う形になるのでしょうか?何れにしても、アルバイト程度の収入にしかならなければ、アドバイザーになる方のスキルレベルは担保できませんし、相談者を知人の金融商品仲介業者に紹介して紹介料を貰うなど、本末転倒な事態になりかねません。

   機構(国)の認定アドバイザーという、客観的な信頼性に見合うか不透明

素人からすると、機構とはいえ国が認めた「認定アドバイザー」ですから、信頼性が非常に高く見えます。しかし、記事のコメント欄を見ても、研修内容や必要な資格情報もまだ未発表であり、金融機関に属さない、金融商品を取り扱わないだけであればわざわざ国が認定するほどのことでもありません。どんな方法で認定アドバイザーの質を担保できるのか不透明にも関わらず、一般的には高い信頼性があるように見えることは非常に問題でしょう。

 

記事内、コメントにもある通り、販売することそのものがダメではなく、顧客本位であるかどうかがポイントになります。

その点、手前味噌ですが、独立系FPは金融機関とことなり、担当が変わることもなく、顧客とも長い付き合いになる前提ですから(顧問契約もありますし)、当然顧客本位でなければ続けられません。

そういう意味でも認定アドバイザー資格は、これまでの金融商品販売の実績(長期投資に根差した販売かどうか?過度にリスクの高い商品を販売していないか、短期の売買をさせていないかなど)を見て認定して欲しいところです。

 

何れにしても、過度な介入は良い結果にならないので、外貨建て保険などの一時払い保険商品の手数料を契約者に開示する、銀行や郵便局などの金融商品販売者の資格試験を一般レベル(実は証券外務員試験が簡素化されています)に引き上げ、コンプライアンスを徹底させるなど、以前から問題になっている金融商品取引についての対策を行って頂ければと思います。

 

これから、投資デビューしたいという方はぜひご相談ください。

ご自身で学びたいという方はこちらもご参考下さい。

 

今日もありがとうございました。

 

 

 

あきたで出産・子育てガイドブックに取材記事が掲載されました。

クルール秋田版(4月号)に記事が掲載されました。

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