こんにちは。
ファイナンシャルプランナーの土田です。
今朝の日経新聞にこんな記事がありました。
勤務医の働き方 診療報酬の焦点 厚労省、残業対策に人件費手当てへ 薬価は引き下げ
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20191114&ng=DGKKZO52106970T11C19A1EE8000
引用開始
厚生労働省は医療機関に支払う診療報酬の2020年度改定で、勤務医の長時間労働を改善する医療機関への報酬を増額する検討に入った。医師を補助する医療従事者を雇う病院に人件費を手当てする必要があると判断した。薬剤料など薬価の引き下げで診療報酬全体はマイナス改定になる見通しだが、病院の働き方改革を後押しするため、医師の技術料などを引き上げる方向で財務省との調整を本格化させる。
引用終わり
2年に一度見直される「診療報酬」ですが、2020年度の改定では、全体では下げるものの医師の技術料などに充てられる「本体」は増額し「薬価」は引き下げる方向で検討しているようです。
記事によると、医師や医療従事者の残業が多くなっていますが、24年度からは「働き方改革」で残業抑制されることも含め、病院に体制整備を進めさせるという目的もあるようですね。※タスクシフトといって看護師や補助者に医師の業務を分担する制度を推進していますが、現場ではやれる業務を線引きされるということもあり、多少困惑しているところもあるようです(汗)
基本的には医療費が国の財政を圧迫(18年度で約43兆円!)していることもあり、診療報酬は抑制の方向ですが、記事の終わりには、75歳人口の増加が20年度は一時的に鈍るため改革機運がも鈍っているとされています。※とはいえ年間5300億円自然増ですし今後はペースが加速するはずですが…
しかし、この医療費改革では「対処療法」に過ぎず、問題の本質には届きませんから「根治」することは難しいと思います。
日本人は「薬漬け」と言われていますが、アメリカでは4剤以上の薬併用に関して「医学の知識が及ばない危険な状態にある」としています。(ドクターズルール425 医師の心得集より)
医師の和田秀樹氏は著書「だから医師は薬を飲まない」で薬漬けを生む原因として
・専門分化主義
・正常値至上主義
の2つ挙げています。
専門分化主義については「特定の臓器の病気と診断がついている場合、特に珍しい病気に対して専門的に治療をするのは望ましいが、専門外の分野の治療がお粗末になることも珍しくない」としており、高齢者ほど複数の病気を抱えており、専門医よりも総合診療医や地域医療医が望ましいようです。※長野県ではこういった活動が実を結び平均寿命が1位でありながら一人当たり医療費も全国最低レベルと紹介されています。
また、正常値至上主義は健康診断などでも正常範囲が定められていますが、そもそも平均値プラスαで決められているもののようで、和田氏も「身長が平均よりひどく高くても低くても病気とはいえない」と例に出していますが、個人差があり生まれつき数値が高い方なんかもいる訳で、それを薬を使って正常値に戻すことに意味があるのかとしています。
ですから医療費を制度で削減するだけでなく、根本的な問題(例えば薬漬け)を解決する方向で行うべきでしょう。※我々一般国民も「医療リテラシー」を高める必要があると思います。(薬をあまり出さない医者を「薬もくれない悪い医者」と言っている方もいましたので(汗))
そして私のようなFPも「総合診療医」的に問題を全体で考えることが大切です。
FPの分野は6分野(ライフプラン・保険・運用・不動産・相続・税金)ありますが、ライフプランを中心に「全体最適」を考えてプランニングします。
そのため、ムダなく効率的な提案が可能です。
保険しか知らなければ「保険で資産運用」を普通に勧めてしまいますし、運用しか知らなければ「保険はリスクマネジメントとして重要」という考えが薄くなりがちです。また、住宅取得に関しても、ライフプラン全体で予算を考えるには多分野の知識が不可欠です。
今回の記事を見て、厚労省も「木を見て森を見ず」になっているのではないかと不安になりましたが、私もFPとして「森を見てから木を整える」「全体最適」はいろいろな分野で大切だと改めて感じました。
今日もありがとうございました。