「いらない保険」を読んでの所感

こんにちは。

ファイナンシャルプランナーの土田です。

 

 

今日は「いらない保険」を読んでの感想です。

 

この本ですが、元某大手国内生命保険会社社員の方である、後田亨さんが書いた「アンチ保険」本です。

 

いろいろなメディアにも出ているのでご存知の方も多いかと思いますし、本も何冊も出ているので読んだという方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 

毎回保険に関して否定的な論調ですが、今回の本も相変わらずでした(笑)

 

まず、「保険は基本的にいらない」というスタンスです。

加入してもいいものは「若年層の死亡保障と就労不能保障のみ!」他はいらない!

特に貯蓄性のある保険は営業マンに手数料を払うために入るようなもの!と断罪してますね(笑)

※詳細はご興味ある方は読んで頂ければと思います。

 

私も基本的に実は同じ考えなので違和感はあまりないのですが私より過激です!!

 

ただ、後田さんはじめ保険を否定する方の特徴として、確率論や費用対効果的な話が強く出がちで、本来の役割である「必要性」の観点が抜けているのが残念です。

 

また、今回は医療・がん保険を否定したいあまりに、先進医療制度や自由診療制度、海外で承認された抗がん剤など(健康保険が効かないので高額になる治療)に対する知識が浅いまま(後田さんが知らないとも思えないので意図的かも知れませんが…)断定的に述べられているのは非常に残念でした。※自由診療で治った方に対しても、本当に健康保険が効く一般的な治療法で治らなかったとはいえない!というような事も書いてあり、否定ありきと思われても仕方ないと思います。

 

 

そもそも確率論で保険を考えるなら保険は要りません。

 

「確率が低いけれど(0%にはできない)、そうなったら大きな経済的損失を被るもの」

 

に対して掛けるのが保険です。

 

自動車保険に加入する理由は、ちょっと車をぶつけた時のためではなく、万が一にも人身事故など大きな損害を相手に与えてしまった場合にその数千万~億円単位の費用を補償するためではないでしょうか?しかしその確率は極めて低いです。

火災保険だって自宅が火事になる確率を考えれば非常に低い。

若いときに癌に罹ってしまい、大きな医療費が掛かる可能性も非常に低いです。

 

しかし、この可能性を0%にはできません。

 

ですから、確率論ではなく必要性(目的)を中心に考えなくてはいけません

※後田さん自身も死亡保険と就労不能は必要と書いています。

 

勿論、保険の掛け過ぎはムダですからムダはなくした方が良いですし、必要性はあっても掛金が高すぎる保険も考え物でしょう。

ですから、公的な保険である健康保険や厚生年金を知って、それで不足する部分に保険を掛けるのが大切ですね。※これは後田さんと同意見です。

 

また、貯蓄性の保険での資産運用はダメということも同意です。

※老後資金など必要性はありますが、その手段として保険は向かないことが多い

 

 

後田さんの考える保険活用は

①保険は死亡保険と就業不能保険のみ掛ける

②基本いらないが、入りたいなら医療やがん保険は60歳くらいまで掛ける(県民共済なども良い)

③60歳以降はiDeCoやつみたてNISAなどで資産形成し、保険には頼らない(保険は卒業)

という感じです。

 

私もほとんど同意するのですが、しかしこれはあくまでも「金融知識がある」から言えることです。

 

なぜならこれを実現するには

①社会保障制度を知っていること(現状だけでなくある程度の将来予測も含め)

②ライフプランを立てて計画的に準備できること(いつ、いくら掛かるかも当然把握している)

③資産運用の知識を持ち運用を成功させること(どの制度、商品で運用するかを判断し実行できる)

の3つに関しての知識が必要です。

 

そして一般の方にはなかなかハードルが高い

 

だからこそ、プロであるFPなどがサポートしていく必要があると思いますし、無駄な保険に入ったり、投資でリスクを取りすぎて失敗したりする事を考えると、結果として相談料はコストパフォーマンスが高い投資になります。

 

という事で、後田さんとは考え方には共通項も多いのですが、実は決定的に違うところもあります!

 

それは

 

独立系FPも否定!

 

してるんです!

 

特に、「保険を扱っているFP」はダメ!

 

なんですね。

 

理由は、保険販売で手数料を稼ぐために、相談者に高額な保険商品を売る事が目的化するから!

 

 

確かに実質保険代理店が「保険屋さん」と言われないように「独立系FP」を名乗っていることが少なくないので仕方ないところはありますし(先日もご相談者がハウスメーカーから紹介されたという「FP」から高額な外貨建て保険を提案されたりしていましたし…)気持ちは分かります。

 

しかし、中にはちゃんと職業倫理を持って顧客本位のサービスを行っている独立系FPもいることを知って頂きたいものです。

 

さらに言えば、保険を扱っていないFPは保険知識がどうしても浅くなりがちです。新商品などの情報だけでなく、どんな時に保険金が受け取れるかなどの詳細も分からない方が多いと思います。これは証券も同じで投信なども取り扱っていないと情報も取りにくいです。

 

本来FPとは顧客の側に立ち、ライフプランを作成し分析し、ライフプランを実現する上で改善すべき点に対し改善プランを提案してそれを実行していくのが仕事です。

 

そして実行する上で、保険や証券などの金融商品が必要になります。

ですから当然こういった金融商品知識が必要です。

 

例えば、医者が病気を診断して治療をするのと一緒です。正しい診断も大切ですが、それに対して適切な薬や治療を行わないと病気は治りません。

 

 

後田さんは顧客を置き去りにして商品販売をしている事が蔓延している「保険業界」に対しての苦言を呈されているのだと思いますし、共感するところ大です。しかしそれが本自体の目的化しているところもあって誇張されていて、非常にもったいないと思いますし、もう少し一般の方目線で書いて頂けたらと思います。(本としては誇張した方が売れるのかも知れませんが…)

 

という事で、保険のムダをなくしたい、将来資金もしっかり運用したい、という方で、プロのサポートを得ながらしたいという方はぜひご相談下さいね!

 

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今日もありがとうございました。

あきたで出産・子育てガイドブックに取材記事が掲載されました。

クルール秋田版(4月号)に記事が掲載されました。

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